2010年9月1日水曜日

介護保険制度について

これから進む高齢化社会に対応する様に介護保険制度が2000年に制定されスタートしました。この介護保険の特徴としては介護を必要としている人、それとその家族をメインとした考え方で、有利に利用出来る制度と言う事が挙げられる様です。

この介護保険を利用するに当たっては、利用者本人または利用者のご家族が申請をする事、どの介護サービスを利用するか選択する事、選んだ介護サービスを扱っている事業者との契約をする事となっています。つまり介護保険制度は自分で利用も申請も行う必要が有る為に、どんな制度になっているのかと言う事をきちんと理解しておかなければならないと思うのです。とは言っても結構介護保険制度のしくみって難しくて分かりやすいとは言えないと思いますので、徐々に覚えていくと良いと思います。

また、介護保険制度は2005年に介護保険法が改正された事で大きく内容が変わってしまいました。これにより利用者にとっては負担となる部分も出てきた様です。不況だ不景気だと騒がれている中での負担額の増大は、利用する人にとって大きな負担にもなる事でしょう。更に介護保険制度は毎年何かしら変わっている様でも有りますので、常に変更点を把握しておかなければ、有利なサービスを利用する事が出来なくなってしまいます。介護サービスを提供する為に作られた制度ですが、周知自体も難しいので100%の利用が出来ないと言うのも大きなデメリットではないかと思います。


介護保険制度のまとめ

中身を全て理解するのは難しいと言われている介護保険制度ですが、分からないままだとそのままになって、受けられるサービスを逃してしまうかもしれませんので、その概要を簡単にまとめてみたいと思います。介護保険制度とは、対象者から支払われている介護保険料を財源として介護を必要としている人達に、その人達に合った介護サービスを提供している制度の事を指しています。但し、財源は国民から支払われている介護保険料だけではなく、国や各都道府県等から税金が半分は充てられていると言う事です。この介護保険制度では、利用する人が認定された要介護度のレベルに合わせて、色んな介護サービスが提供される様になっています。

では、この介護保険サービスを受けられるのは、国民すべてなのかと言うとそうでは有りません。介護保険料は40歳から支払わなければならなくなりますが、サービス自体を受けるのは条件が有ります。

【介護保険サービスを受ける事が出来る条件】
≪第1号被保険者≫
これは65歳以上の人の事を指していますが、第1号被保険者の人がどういう理由、どういう状態で有っても介護が必要だと判断された場合に受ける事が出来ます。

≪第2号被保険者≫
これは40~64歳の人の事を指していますが、指定された特定疾病によって介護が必要だと判断された場合に受ける事が出来ます。

介護が必要だと判断されるのは、要介護認定をしてもらう申請をして認定して貰う事が必要となります。


何故介護保険制度が導入されたのか

介護保険制度は2000年に導入されましたが、何故今介護保険制度が導入される必要が有ったのでしょうか。その理由を挙げてみたいと思います。

今でもそうかもしれませんが、介護と言うと各家庭、各家族で行う物と言う意識が有ると思います。それが介護保険制度が制定される前はもっとその考えが強く有ったのではないかと予想されます。しかし今では日本も世界一の長寿国の高齢化社会になっている事も有り、お年寄りが増えてきています。また寝たきりになったり、認知症になったり、老々介護になったり、介護自体が長期化してきたりと、1人の介護に対する負担がかなり高くなってきている様にも感じ、介護の重要性が高まってきていると感じると思います。先程挙げたお年寄りがお年寄りを介護する老々介護も増えてきている現実も有り、問題が山積みとなっています。家族が介護をする事自体にも問題が出てきています。核家族化、女性の社会進出等で介護をする人がいないと言う事、介護が必要な人と一緒に暮らしていないと言う事、だから介護が難しいと言う現実があるのです。

そう言った事を受けて、介護をする人の事、介護される人の事を家族間の問題として終わらせるのではなく、社会全体で守っていこうと言う仕組みを作る為に介護保険制度が作られたのです。介護保険制度は福祉と医療を一体化させ、介護が必要な人達に介護サービスを提供する事になっています。これにより、介護問題が今後少しでも解決していく事が望まれているのです。


介護保険は誰が利用出来るのでしょうか

介護保険制度が制定された事によって、介護が必要な人は介護サービスを受けられる事になりましたが、全ての人が受けられる訳では有りません。有る条件が必要になりますので下記に挙げてみたいと思います。

≪第1号被保険者≫
第1号被保険者と言うのは、65歳以上の人達の事を指しています。この方は介護保険制度を基にして要介護・要介護支援と認定された人全てが介護サービスを受ける事が出来る様になっています。

≪第2号被保険者≫
第2号被保険者と言うのは、40歳~64歳の人達の事を指しています。この方は要介護・要介護支援と判断された人全てが介護サービスを受ける事が出来るのではありません。要介護・要介護支援と判断された人で、特定疾病が理由で判断された人が受ける事が出来る様になっています。ここで言う「特定疾病」とは老化に伴って起こる疾病の事を指しています。

ここで言っている特定疾病にはどんな物が有るか下記に挙げてみます。
「骨粗鬆症(骨折を伴う物)」「筋萎縮性側索硬化症」「パーキンソン病」「脳血管疾患」「早老症」「慢性関節リウマチ」「慢性閉塞性肺疾患」「閉塞性動脈硬化症」「後縦靱帯骨化症」「認知症(初老期に限る)」「閉塞性動脈硬化症」「脊髄小脳変性症」「脊柱管狭窄症」「シャイ・ドレーガー症候群」「糖尿病性の神経障害、腎症、網膜症」「変形性関節症(著しい変形を伴う物)」になりますが、これに今は「末期がん」も特定疾病扱いとして介護保険サービスが受けられる様になっています。


介護保険制度が導入される前の制度

2000年に導入された介護保険制度ですが、せっかく有る制度ですから上手に利用した方が良いと思います。この介護保険制度が導入される前は介護に関する制度には「措置制度」と言う物が有りました。これは市町村等の各行政によって今で言う「要介護」「要介護支援」と言う様な介護が必要かどうかと言う判断を行っていて、必要と判断された人を介護施設に入所させる様にしたりとか、訪問や在宅介護サービスを利用する様に行っている物でした。今と違う事と言うと、介護サービスは介護を受ける側が選べないと言う所に有った様です。また、介護が必要かどうかを判断する時も所得調査が必要になる等、心理的に嫌だなと思う様な調査も含まれていたそうです。

今ではそう言った措置制度は廃止され、介護保険制度が取り入れられる様になりました。この介護保険制度は40歳以上の方が支払っている介護保険料を財源として運営されている保険になります。以前の措置制度と違い、要介護の人達は誰に気兼ねをする事も無く介護サービスを受ける事が出来る様になったのです。また今までは選べなかったサービスも選べるようになったので、介護の幅が広がったと言えるでしょう。しかしデメリットも有って、以前の措置制度の場合はやらなかった手続きを、介護保険制度では自分達で行う事になる為、多少面倒と思える部分も出ているのです。自分達で申し込んだり契約したりする事で自由な介護サービスを受ける事が可能となったのです。


介護保険料の内容

介護保険法を基に介護保険制度が制定されています。この制度を上手く運営していく為には財源が必要になります。この財源、半分は私達が支払っている税金で賄われています。税金と言っても国と各都道府県、各市町村の3箇所がそれぞれ負担する形になっています。そして残りの半分は介護保険料と呼ばれる40歳以上の人が無条件で加入させられている保険料で支払われているのです。無条件と書きましたが、これは法律で定められている介護保険制度を運営する為になりますので、必ず加入する事が義務付けられているのです。ですから、「自分は介護保険サービスを使わないから保険料を払わない」と言う事は認められないのです。

では、専業主婦や自営業の方は介護保険料を支払わなくてもいいのでしょうか。40歳~64歳の専業主婦の場合ですが、旦那さんがサラリーマンや公務員の方の場合は旦那さんがお給料から支払っている介護保険料に含まれていますので、直接支払う事はしなくて良いのです。但し、旦那さんが自営業の方での専業主婦の場合は、ご自分が支払っている国民健康保険に上乗せする形で介護保険料を支払う事になります。また自営業の方は国民健康保険に上乗せされていますので確認して見ると良いでしょう。また、65歳以上の専業主婦の場合は旦那さんの保険料で支払うと言うのではなく、介護保険料を自分で支払わなければならなくなります。

こうして、40歳以上の方が保険料を支払っている事によって介護保険制度が賄われているのです。


介護保険料の支払い方

介護保険制度を運営していく為に必要なのが介護保険料ですが、40歳以上になると必ず支払わなければならない決まりになっています。ではこの介護保険料はどうやって支払われているのでしょうか。支払い方ですが年齢や仕事の状況によって変わってくる様になっています。

【サラリーマン・公務員】
40歳~64歳のサラリーマン、または公務員の場合は自分では意識してないと思いますが、お給料から介護保険料を天引きする形で支払っています。支払っている介護保険料の半分は自分の給料から、残り半分は事業主が支払っています。

【自営業】
40歳~64歳の自営業の方の場合は、国民健康保険料に介護保険料が上乗せされています。介護保険料の半分は自分で、残り半分は国が支払う様になっています。

【専業主婦】
40歳~64歳の専業主婦の方で、旦那さんがサラリーマンまたは公務員である場合で扶養に入っている場合は、介護保険料を直接支払う事は有りません。但し、旦那さんが自営業である場合は国民健康保険料に上乗せされますので、ご自分で払う事になります。

【65歳以上の方】
65歳以上の方の場合で年金生活を送っている人の場合は、介護保険料は年金から天引きされる様になりますので、介護保険料が天引きされた後の金額が年金として手元に入る事になります。但し、年金額が月額15000円以下の人の場合は、天引きと言う形ではなく各市町村が徴収する事となっています。

こうして皆が支払う事で、介護保険制度は上手く回っているのです。